コンプライアンス調査における文書レビューの最適化、パート1

多くの企業では、訴訟でもコンプライアンス調査でも、同じ人々が、同じ技術、同じアプローチ方法で行っています。しかしながら、社内調査やコンプライアンス調査における電子情報の管理の手法と、訴訟における手法とは異なっているはずです。

コンプライアンス調査に関する議論の大半は、社員インタビューの計画と実施に関するベストプラクティスに焦点を合わせたものです。この記事では、文書レビュー、特に電子文書レビューを対象としています。文書レビューは、それらのインタビューをコントロールし調査の多くの部分を構成するための、「自白剤」となりそうな要因を見つけるための調査プロセスの一環で、インタビューの計画や実施と同じくらい重要な要素となります。

内部調査または規制当局による調査のための文書レビューを行う場合のアプローチは、訴訟に関する典型的な開示文書の場合とは大きく異なります。効率的かつ有効な文書レビューの手順を策定するうえで鍵となるのは、この違いとコンプライアンス調査特有の課題を認識することです。

2部立て記事のパート1となるこの記事では、それらの違いと課題を概説し、調査のための文書レビューを最大限に活用するための手法のいくつかをご紹介します。

しかしながら、たとえば民事調査の要求に対応する場合など、文書自体が調査の対象となることもあります。次の記事では、「否定的命題の証明」のための文書レビューの手順をご紹介します。つまり、提出を要請している当局に対し、合理的、かつ統計的に確実な方法で、そのような要開示文書は存在しないことを示す場合です。

いずれの場合も、有効な文書レビューの手順策定は、調査のための文書レビューと訴訟における開示文書レビューの重要な相違点を認識することから始まります。

調査のためのレビューは開示文書のレビューと、どのように異なるのか?

典型的な訴訟調査の目的は、合理的に判明している一連の事実から、当該紛争に関するできるだけ多くの文書を最小限の努力で見つけ出すために調査することです。焦点となるのは文書レビューであり、特にレビュー対象となる最適な文書を提示し、それらの文書が事実の基本的パターンと関連しているかどうかを判断することです。そのため、訴訟のレビューは、ポジティブ、つまり関連性のある文書のモデルを構築して類似文書の大半を迅速に見つけ出し、また他の文書を排除できるよう、大まかな枠組みで考案されます。

調査段階においては、これらの事実は未知であるか、もしくは明らかにされていません。そのため調査レビューは、その事実パターンを確立する関連文書を迅速に見つけ出すよう考案されます。必ずしも、確実に事実に結び付く関連文書のすべて、もしくはその大半を見つけ出そうとしているわけではありません。最も大事なことは、重要な文書が必ずレビューできる状態であること、そして、それらを迅速に見つけ出すことです。調査はパズルのピースを見つける作業で、それらを組み合わせ、全体としてまとまりのある事実のパターンを明らかにすることです。

目的におけるこの違いを踏まえ、コンプライアンス調査の基本的目的を達成するための文書レビューの手順を改善し実施するうえで、いくつかのステップがあります。

リーガルホールドとコレクション能力の価値の最大化を図る

通常、調査の初期段階では、関係者または基本的な経緯については、ほとんど何も分かっていません。多くの場合、調査は何等かの告発から始まります。それは口頭の場合も文書の場合もあり、どのくらい詳細なものであるかはまちまちです。通常、告発内容を調査してゆくと、文書の潜在的カストディアンである何人かの人物が特定されます。これらの人々は、告発に関する事実を少なくともある程度知っている可能性があります。判明したこれらのカストディアンの知識をいち早く活用し、調査の対象範囲を拡大することが重要です。

多くの場合、リーガルホールドとコレクションが一体化したツールがあれば、これらのカストディアンから迅速かつ容易に情報を引き出し、同時にレビュー対象となる文書の収集が可能です。通常、自動化されたリーガルホールド・ツールには、既知のカストディアンを対象にアンケートを発行できる機能が含まれています。調査の場合、これらのアンケートは全ての既知の文書カストディアンから、告発に関する情報を迅速かつ効率よく引き出せるように構成され、同時に彼らが保有する文書が収集されます。その情報は、たとえカストディアンのインタビュー前であっても、文書レビューの範囲と焦点を定めるために活用できます。

コミュニケーション分析機能を使い、追加の証人を見つける

コンプライアンス調査の成功は、事実のパターンを迅速かつ可能な限り完全な形で構築するために、鍵となる証人と文書カストディアンをいかに素早く特定できるかにかかっています。文書レビュープロセスの特別な要素として証人の特定を含めることで、リターンは飛躍的に大きくなります。より多くの証人を特定することで、より多くの文書を収集できるようになります。そして、それがさらに多くの証人を特定することに繋がるのです。

リーガルホールドのアンケート機能と継続的なインタビューに加え、最先端のコミュニケーション分析機能を使うと、文書レビュープロセスにおいて識別作業を迅速化することができます。コミュニケーション分析にはいくつかのレベルがあり、それらは並行して使用される必要があります。通常、最上レベルの分析では、文書母集団のコミュニケーション・ソーシャルネットワーク全体を視覚的に表示します。

ソーシャルネットワークの概観を通して重要な人物が特定されると、彼らの個別のコミュニケーションに分析の焦点を絞ることができます。その後、分析機能を使って特定人物間のコミュニケーションをさらに深く掘り下げることで、インタビューや文書コレクションの対象となる証人を、文書レビューのプロセスで迅速に発見できるようになります。そうすると、新しい証人によって他者に関するさらなる見識が提供され、結果として調査が包括的なものになるのです。

効率的なテクノロジー支援型レビュー機能を使う

テクノロジー支援型レビュー(TAR)は、訴訟を対象とする文書レビューにおいて、有益で効果的なアプローチ方法として広く認知されています。TARは適切に活用された場合、コンプライアンス調査の過程で重要な文書を見つけるうえでも、同じように効果的な方法となり得ます。

訴訟レビューと調査レビューの違いを踏まえて、有効なTAR手順を選択することが重要です。一部のTARは、最初の時点で全文書が揃っている必要があり、本格的なレビューを始める前に、参照用文書を使ってランク付けの訓練を行わなければなりません。訴訟レビューの場合はそれが有効かもしれませんが、緊急性があるコンプライアンス調査では、できるだけ早急にレビューを開始しなければならず、全ての文書が揃うのを待つ時間はありません。

本格的な継続能動学習(CAL)を使うTARツールでは、この初期における遅れを回避できます。最初の文書から、実際の文書レビューを始めることができます。CALは、レビュー中に下されたすべての判断をフィードバックすることでアルゴリズムが改善され続け、関連性の高い文書が最初にレビューされるようランク付けされます。レビュー対象となる文書が追加されるたびに、継続能動学習ツールは、その時点における全ての判断に基づき、それらをコレクションに組み込みランク付けします。継続能動学習はレビューに即時性と優先性を与えるアプローチなので、特にコンプライアンス調査に最適なものとなります。

継続能動学習のもうひとつの利点は、実質的にどんなものを使ってでも訓練を始められることです。多くの場合、コンプライアンス調査を始める時点で分かっていることは少ないので、TARを訓練するために使える、本当に関連のある文書を迅速に見つけるのは難しい場合があります。しかし、CALであれば、シード文書を使って訓練を始められます。これは、調査に関連する可能性がある、あらゆる要素を網羅した文書によって形成されています。CALは、それらの要素の基礎となる言葉や語句を即座に認識し、類似した文書がレビューされるよう優先させます。それにより、どこから始めてよいか分からない場合でも、関連文書に素早く辿りつけるのです。

高度機能を備えたTARを最も効率よく活用するために、文書レビューは同時進行する複数の審問に分けて行うことができなければなりません。たとえば、非常に短い時間枠の中で、何人かの証人を次々にインタビューする予定があるとしましょう。効率性を最大化するには、文書レビューは、各々のインタビューについて個別の準備をするためにレビューを分離、同時進行できるように構成されなければなりません。

そのようなレビューの手順を踏まえ、TARツールは (1) 同時進行する独立したレビュープロジェクトを可能にし、 かつ (2) どのプロジェクトでなされた決定かに拘わらず、全てのレビュー決定事項をアルゴリズムの訓練に使えることが必要不可欠です。

このようなアプローチは、特に、言語ごとに異なるレビューチームを使うバイリンガルな調査において、文書にどちらの言語が表示されているかにかかわらず、レビューのランク付けを行わなければならない場合に重要になります。

必ず、未知のことを効果的に調査する

知識の境界線が曖昧で、かつどんどん拡大してゆくようなコンプライアンス調査の場合は特に、文書レビューにおいて、「どうすれば、判明していない関連文書はもう存在しないと確信できるか」という懸念が付きまといます。文書レビューの対象を審問の現在の範囲内のみにフォーカスしてしまうと、全容を明らかにするために役立つ、潜在的に関連文書が見落とされる可能性が非常に高くなります。

もちろん、それらの未知の事実や文書を捜し出すよう高度な分析機能を使うことができます。しかし、それは非常に煩雑で多くの時間を要する作業です。そして多くの場合、コンプライアンス調査では、それを行う時間の余裕はありません。

この問題を解決するため多くの近代的なTARツールには、背景面において、その時点で判明していることとは異なる文書を見つける機能が備わっています。背景が異なる文書は、もちろん調査に関連性がある場合もない場合もあります。しかし、レビューの過程で異なる背景の文書を多く見ればみるほど、レビューで(翻っては調査で)最初に判明していなかった重要な問題点を見落とす可能性が低くなります。

関連文書がなかった場合はどうするか?

これらの機能を使い適切な技術をフルに活用することで、コンプライアンス調査において効率的、効果的、そして周到な文書レビューができるようになり、それに見合った結果が得られます。しかし、本当に何の文書も見つからない場合もあります。政府や規制当局の調査のように文書自体が調査の目的となっている場合は、文書母体全体をレビューしても何も出てこないことがあるかもしれません。次の記事では、レビュープロセスを短縮し、さらにコレクションに該当する文書がないことを実証するのに有効な機能と技術について概説します。つまり、コレクション全体をレビューせずに「否定的命題の証明」をする方法です。

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