連邦裁判所が再度TARは手作業によるレビューより 有効と判断

eディスカバリとテクノロジー支援型レビュー(TAR)の歴史の中において、Malone v. Kantner Ingredientsはほんの些細な出来事にすぎないでしょう。たとえ些細な出来事でなかったとしても、この訴訟案件にはここで取り上げるだけの意味はほとんどないかもしれません。

最初の判例は2012年に米国治安判事のアンドリュー・J・ペック氏が出した画期的な見解書「Da Silva Moore v. Publicis Groupe」であり、これは裁判所がTARの仕様を認可した初めての事例でした。最新の判例は同じくペック判事が先日Rio Tinto PLC v. Vale SAで出した見解書で、同書には「判例法が形成され、開示側当事者が文書レビューにTARを使用したいと望んだ場合、裁判所がそれを許可するのが今や基本的法原則となっている。」という記述があります。

ただし、TARに関する判例法はいまだわずかで、TARの使用に関する見解を公表した裁判官はごく少数にすぎません。裁判所はTARの使用を認めるべきだというペック判事の判断は正しいというのが筆者の考えですが、他の裁判官が同様の判断を下してくれるのは、どんな時でも心強いものです。

ではMaloneとそのフットコート(脚注)に話題を戻しましょう。内容はdiscovery disputeで、2年におよぶ裁判の中で行われた証拠開示に関する論争の最終部分にあたります。

原告は被告が情報開示要求に従い開示すべき文書をすべて開示していないとして、被告が情報開示要求に従い被告のEメール・サーバーにあるメールにキーワード検索をかけたところ、開示の必要があるのに未開示のものがあったということでした。

原告は裁判の中で、被告に対し、フォレンジックの専門家に支払った費用の支払いと、裁判所の前回の開示命令を遵守しなかった理由を説明するよう求めました。

米国ネブラスカ管区治安判事のシェリル・R・ツワート氏は、原告の申し立てには費用の支払いを正当化するには証拠が不十分と判断しました。原告が主張したのは被告のレビューに誤りがあったということと、誤りの原因が手作業でレビューを行ったことにあるということだけだ、と述べました。

原告は被告側の弁護士が2012年に手作業で行った電子ファイルのレビュー中にミスが発生したという証拠を提示したに過ぎない。手作業によるレビューはいまだに多数の関係者から電子文書のレビュー手法の「王道」であるとみなされている。しかし、弁護士が多量の電子情報を自分でレビューするように依頼された場合、人為的なミスが発生しがちである。被告側の弁護士がミスを犯した可能性があるという事実は、制裁を課す理由にはならない。原告がサーバーの画像をすべて閲覧できる状態にあるので、とりわけそれがあてはまる。

そしてここにようやく、問題のフットノートが登場します。それはちょうど上記に引用した文言の中に記載されていました。

プレディクティブ・コーディングは電子情報のレビュー手法として、より有効性が高く、よりコスト効率のよいものになってきた(また容認する人が増えてきた)。しかしそれだけではない。正確性の面でもより優れたものになってきている。Nicholas Barry, Man Versus Machine Review: The Showdown Between Hordes of Discovery Lawyers and A Computer-Utilizing Predictive-Coding Technology, 15 Vand. J. Ent. & Tech. L. 343 (2013); Maura R. Grossman & Gordon V. Cormack, Technology-Assisted Review in E-Discovery Can Be More Effective and More Efficient Than Exhaustive Manual Review, 17 Rich. J.L. & Tech. 11, P 5 (2011).

つまり言い換えれば「TARは手作業によるレビューより有効性が高い。もし被告側弁護士が最初に電子情報をレビューした時にTARを使用していたら、おそらく開示すべき文書が見逃されることはなかったし、無駄な申し立てについて話し合うこともなかっただろう。」となるのです。

この事案には他にも注目に値するフットノートがあります。両当事者の協力がないことと、原告の経費負担要求の影響に関するものです。この中で、ツワート判事は次のように述べています。

聴聞の終わり間際に、原告側弁護士は両当事者が最初に本事案に関わる電子情報の収集と開示の方法について話し合いを行わなかったと述べた。もしそうした話し合いが行われていたら、全当事者の情報開示費用は最低限で済んでいたはずだと裁判所は考える。そうした状況下では、原告側が支払った情報開示費用の一部分を負担するのが妥当である。

これも言い換えてみましょう。「相手側当事者と協力して費用を最低限に抑える努力もせずに、私のところにやってきて、かけずに済んだかもしれない費用の負担を相手に求めるのはやめなさい。」

Maloneは大きな訴訟ではありません。関係のある記述はフットノートの中の付言にしか出てきません。しかしそうだとしても、裁判官がeディスカバリのレビューにTARを利用することの有効性を認めたひとつの事例として、この訴訟が判例の一覧に加わったことに違いはありません。

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