政府のeディスカバリに関する新規則の制定が実現に向けて一歩前進

先週、米国連邦民事訴訟規則(FRCP)の改正に向けた動きが実現に向けて一歩前進しました。この改正は情報開示手続における関係者間の協力や比例原則の適用を強化し、制裁に関するルールを標準化することを意図したもので、4月11日と12日にオクラホマ州ノーマンで開催された民事規則諮問委員会会議で改正案を改正手続規則常任委員会に送致し、6月3日と4日にワシントンD.C.で開催される会議で同案を検討することが決議されました。

今回提案された規則の改正は、もともと2010年に開催されたDuke Civil Litigation Conferenceで発案されたものです。これは諮問委員会が主催し、裁判官、弁護士、学界関係者を集めて2日間にわたって開催された大規模会議で、民事訴訟やディスカバリの費用が増大していることを受け、その解決策を探るという目的がありました。

先週承認された改正案は、関係者間の協力や比例原則の適用、早期段階で実践的な事案管理を推進することによって、訴訟費用の増加やスケジュールの遅れを抑制することを意図したものです。さらに、裁判官が情報保全命令違反に対する制裁措置を検討する際に従うべきルール一式を、すべて同一形態で規定することを意図したものでもあります。

Milbergの弁護士Henry Kelstonは、今週前半に発売されたLaw Technology News誌で、興味深い考察を交えながら、改正案の大まかな内容を紹介しています。以下に改正案の主な内容をご紹介します。

比例原則問題への対応

比例原則の問題に関して最も大規模な改正が施されるのは、証拠開示の範囲を規定した第26条(b)(1)です。改正案では同項が以下のように修正されています(文字が斜体になっている文言が追加部分)。

裁判所命令により限定される場合を除き、証拠開示の範囲を以下の通りとする。各当事者は秘匿特権の適用対象とならない情報のうち、いずれかの当事者の申立または抗弁に該当し、論議に関わる証拠の数量に照らした必要性、訴訟における問題の重要性、各当事者の財力、証拠開示が問題解決に果たす役割の大きさ、証拠の開示に伴う負担または費用が開示によって得られるであろう便益を上回るか否かという観点から妥当な比例関係を有するものの開示を受けることができる。この証拠開示の範囲に入る情報は、法廷が採用する証拠でなくとも開示対象となる。

(b)(1)と相互参照を行い、裁判所は申立がなくても証拠開示の範囲の頻度と範囲が上記の限定を超えないように制限することができ、また制限しなければならないということを明確にするため、第26条(b)(2)(C)(iii)にもこれに対応する修正が施されます。

さらに第30条、31条、33条、36条で仮定的に定められていた数量制限を修正することによっても、比例原則の問題の解決が図られています。

  • 現状では、第30条と31条で、原告、被告、または被告側第三者による宣誓証言(deposition)の数が仮定的に10点までと定められています。改正案ではこの宣誓供述書の上限が5点に減っています。
  • 現状では、第30条(d)(1)で口頭宣誓証言(oral deposition)の制限時間が1日、すなわち7時間と定められています。改正案ではこれが6時間に減っています。
  • 第33条(a)(1)では質問書(written interrogatory)の数が仮定的に25点に限定されています。改正案ではこれが15点に減っています。
  • 現状では、第34条「証拠開示要請」と第36条「承認要請」に仮定的な数量制限に関する規定はありません。改正案では第36条に初めて承認要請件数を25件に制限する条項が盛り込まれました。

証拠開示要請に対する異議と回答に関する規定を定めた第34条でも、比例原則の適用強化にむけた改正が3カ所提案されています。まず第34条(b)(2)(B)が改正され、開示要請に異議を唱える理由を具体的に述べることが義務づけられます。次に第34条(b)(2)(C)が改正され、異議を申し立てる際に「かかる異議に基づいて何らかの返答材料の公表を控えるのか否かを明らかにする」ことが義務づけられます。これによって、回答書中に開示要請に異議を唱える文書を掲載した長文のリストがあるにもかかわらず、後に証拠の開示を行った際に、受領者側が公表されなかった文書の有無を確認できないという事態の発生を防止することができます。

3番目に、第34条(b)(2)(B)が改正され、一方当事者が調査を許可する代わりに文書の複写または電子情報を開示することを選択した場合、開示要請書に記載されている調査期間内か、あるいは回答書中に記載した妥当な期日までに開示を行うことが義務づけられます。第37条にもこれに対応する改正が施され、一方当事者が同条項に基づく証拠開示を怠った場合、強制的な開示を求める申立が許されるようになります。

協力の推進

当事者同士の協力を強化することも、改正案の目的の一つです。これに関して、改正案は第1条に以下のような「控えめな」文言を追加するよう求めています。

裁判所と各当事者は、上記の規則を解釈、執行、並びに採用し、措置及び手続一つ一つに関する裁定を妥当、迅速、かつ費用負担の少ないものにしなければならない。

諮問委員会の注釈には、これは裁判所が規則の解釈と執行を行って各訴訟案件を妥当かつ迅速に、しかも少額の費用で裁定できるようにしなければならないのと同様に、両当事者も同様の方法で規則を使用しなければならないということを強調するための追加だという説明があります。

同委員会は、改正をこうした短い文言の追加に留めた理由を、協力を直接的に義務づけることや定義することが困難なためだとしています。「例えそれが必要不可欠なものだとしても、合法な敵対的行動と適正に釣り合いのとれた行動を規定するのは、きわめて困難である。」

制裁基準の一元化

改正案では現行の第37条(e)を削除し、代わりに裁判所が保全すべき情報や採用すべき改善措置または制裁措置を考案する際に判断材料となる一元的な国内基準を定めることを意図した文言を新たに盛り込むことが提案されています。新ルールは電子情報だけでなく、開示すべき情報すべてに適用されます。

先週の会議で作成された覚書によると、第37条(e)の改正案の概要は以下の通りです。

規則の改正にあたり、以下4種類の建議をより明確に表明しなくてはならない。第1に、情報保全を行われなかったことについて何らの過誤が認められない場合でも、改善措置は発動可能でなければならないこと。第2に、例え情報の紛失があったとしても、保全のために妥当な行動をとった当事者に対しては「制裁措置」を発動してはならないこと。第3に、情報の紛失が一方当事者に多大な不利益を与え、かつその原因が故意にまたは誠意を持って保全に取り組まなかったことにある場合、制裁措置の発動が妥当であること。第4に、制裁を課すことが許されるのは、情報の紛失によって一方当事者が法廷において争う能力が完全に損なわれ、しかも保全が行われなかった原因が制裁を課される側の当事者の何らかの過誤にある場合だけであること。

この改正案に基づくと、裁判所が情報保全を怠った当事者に制裁を課すことが許されるのは、2つの条件のうちどちらかが満たされた場合だけです。すなはち、裁判所が情報の保全が行われなかったことで「訴訟面で多大な不利益が生じ、しかもその原因が故意や不誠実にある」と判断した場合か、あるいは「一方当事者の証拠を提出する機会、あるいは申立に抗弁する機会が修復不能な段階まで失われ、しかもその原因が過失または重大な過失にある」と判断した場合です。

早期段階での事案管理

比例原則、協力、制裁に加えて、今回の改正案の第4の柱となるのは、事案管理を早期に、かつ効果的に行えるようにすることです。この点に関する主な改正案は以下の通りです。

  • 第4条(m)が改正され、召喚状と訴状の送達期間が120日から60日に短縮されます。
  • 第16条(b)が改正され、裁判官が審理日程に関する命令を出すまでの期間が短縮されます。現行規則では被告を召喚してから120日、あるいは被告が出頭してから90日のいずれか早い方までに命令を出さなければならないとされていますが、改正案ではこれが被告を召喚してから90日、あるいは被告が出頭してから60日に短縮されます。また裁判官は正当な理由があれば命令を出す期日を伸ばす権限を与えられます。
  • 第16条(b)が改正され、日程調整のための当事者同士の直接協議が必要になり、その協議を「電話、メール、またはその他手段」で実施してもよいという文言が削除されます。ただし、協議の実施は義務づけられるわけではなく、裁判官は引き続き第26条(f)に基づく両当事者の報告に従って、日程に関する命令を出すことができます。
  • 第16条(b)(3)と第26条(f)が改正され、日程に関する命令と証拠開示計画を出して電子情報の保全を図り、これに連邦証拠規則第502条に基づくクローバック契約を含めることができるようになります。
  • 第16条(b)(3)が改正され、日程に関する命令で、「証拠開示に関する命令の申立に先立ち、申立人は裁判所との協議を申し入れなければならない、という指令」を出すことができるという内容の新条項が加わります。
  • 第26条(d)(2)が新設され、第34条に基づく要請を第26条(f)に基づく証拠開示協議に先立って行うことができるようになります。

改正案は6月3日と4日に開催される常任委員会に提出され、常任委員会の承認が得られれば公開され、6カ月間の意見公募と公聴会に付されます。公募期間が過ぎると、常任委員会は追加改正の要否を判断し、追加改正が必要と判断した場合は、意見の追加公募を行うかどうかを決定することができます。

諮問委員会は最後に改正案一式を常任委員会に送り返し、最終承認を求めます。規則はその後、裁判官会議、次いで最高裁判所に送られ、承認の有無が決定されることになります。

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