コンプライアンス調査における文書レビューの最適化、パート2

最新の分析機能と継続能動学習を使い「否定的命題を証明する」には

この記事は内部調査や規制当局による調査のコンプライアンス管理に使用される文書レビュー手法を取り上げた2部立て記事のパート2です。パート1ではコンプライアンス調査の目標達成に向けて効果的な文書レビューを行うための手順をいくつかご紹介しました。そこで今回は要開示文書が存在しないということを統計的確実性で証明するため、つまり実質的に否定的命題を証明するための方法論について概説します。

「否定的命題を証明」することの意味

コンプライアンス調査の目的とは、ほとんどの場合、何らかのまとまったパターンを示す出来事を記述した重要文書を素早く探し出し、インタビューを効果的に行うために必要な要因を収集することにあります。そうした場合、文書は目的を達成するための手段に過ぎません。 Continue reading

コンプライアンス調査における文書レビューの最適化、パート1

多くの企業では、訴訟でもコンプライアンス調査でも、同じ人々が、同じ技術、同じアプローチ方法で行っています。しかしながら、社内調査やコンプライアンス調査における電子情報の管理の手法と、訴訟における手法とは異なっているはずです。

コンプライアンス調査に関する議論の大半は、社員インタビューの計画と実施に関するベストプラクティスに焦点を合わせたものです。この記事では、文書レビュー、特に電子文書レビューを対象としています。文書レビューは、それらのインタビューをコントロールし調査の多くの部分を構成するための、「自白剤」となりそうな要因を見つけるための調査プロセスの一環で、インタビューの計画や実施と同じくらい重要な要素となります。

Continue reading

証券訴訟―不祥事の後に企業を待ち受ける新たな脅威

blog_legal_icons本Blogでは普段、企業不祥事の予防や有事対応に関するトピックを取り上げていますが、今回は少し視点を変えて、有事対応が一段落した後に生じる民事責任の問題、とりわけ投資家が企業に対して起こす損害賠償請求訴訟(証券訴訟)を取り上げてみます1

1 証券訴訟とは何か

長らく、企業において不祥事が発生した場合に、株主との関係で企業が真っ先に心配しなければならないのは株主代表訴訟であると考えられてきました。実際、近年でも、株主代表訴訟の年間の訴訟提起件数は、50〜100件と高止まりしており、役員の大きな脅威となっていることはたしかです。 Continue reading

内部通報制度に関する認証制度について

2018年秋ごろをめどに導入予定~

消費者庁が、本年5月、内部通報制度に関する新たな認証制度として、本年秋頃をめどに、「自己適合宣言制度」を導入し、その運用状況を踏まえつつ2019年度以降に「第三者認証制度」を導入予定であることを発表したことは記憶に新しいところです。

この認証制度の具体的な審査基準の案は、内部通報制度に関する認証制度検討会による「内部通報制度に関する認証制度の導入について(報告書)」の別添資料(「審査基準の概要イメージ案」)に示されており、現在のところ合計44項目が挙げられています。その多くは内部通報制度の基本に立ち戻ったものであり、2016年12月に改正されたガイドライン[1]と重なる内容も多く見られる一方で、比較的新しい取り組みも含まれています。 Continue reading

リニア談合事件で改めて注目される平時からのメールモニタリングと社内リニエンシー制度

Catalyst_Five_Steps_to_Better_Oversight1 はじめに

リニア中央新幹線建設工事をめぐる談合事件で、東京地検特捜部は平成30年3月23日、独占禁止法違反(不当な取引制限)で、大手ゼネコン4社とその役職員2名を起訴しました。民間発注工事の談合で刑事責任が問われるのは初めてのことであり、そのこと自体も注目に値しますが、企業の危機管理を考える上で参考となるのは起訴された各企業が公表した再発防止策です。

新聞報道などでは、起訴された企業の一社が今回の起訴を受けて策定した再発防止策1(以下「本再発防止策」といいます。)が、同業者がいたら同窓会などであっても参加ができないとする非常に厳格な同業者との接触ルールを定めるものとして話題になっていましたが、本稿では、その点ではなく、再発防止策の中でもやや耳慣れない①内部監査部門による平時からのメールモニタリングと、②内部通報に関する社内リニエンシー制度を取り上げたいと思います2Continue reading

当社のInsightを使用したEメール調査案件の一般的な流れ

guest_postはじめに

2015年に発覚した東芝の会計不正は当時各種メディアで大々的に取り上げられ、数か月にわたって東芝の名前を目にしない日はないほど大きな話題となりました。あれから3年、電通、日産自動車、神戸製鋼と日本を代表する企業の不祥事発覚は後を絶たず、海外のビジネス誌で「日本企業に何が起こっているのか」と取り上げられるなど世界的な注目を集めています。

もともとはeDiscoveryプラットフォームと訴訟支援サービスを提供している弊社も数年前から「Eメール調査」サービスという不正調査のサービスを開始し、お問い合わせもそれに関するものが大半で、この分野への関心の高さを物語っています。 Continue reading

企業法務部門がeディスカバリの費用を効果的にコントロールするための5ステップ

Catalyst_Five_Steps_to_Better_Oversight貴社の法務データの保管場所には何が保管されているかご存知ですか?それとも、そのような専用の場所はないでしょうか?法律事務所で働いているのであれば、わざわざ別の場所でデータを共有する必要はありません。むしろ、外部弁護士の関心事は勝訴することでしょう。しかし、企業の法務部門の場合は必要となります。社内弁護士、法務の専門家、さらには経営幹部レベルまでもがeディスカバリ費用の監視と管理をより強化することが求められています。

「測定できることは管理できる」というのは、経営コンサルタントの故ピーター・ドラッカーの言葉です。では、実際のところ、企業の法務部門はどのように測定、管理しているのでしょうか?法務部門は日常業務にビジネスインテリジェンス(BI)を統合して、必要なデータをこれまで以上に効率よく取得、分析し、法務の経費を効果的にコントロールしているでしょうか? Continue reading

2018年6月に導入される日本版司法取引制度のおさらいと企業が平時から取っておくべき方策

TC_Court日本版司法取引制度(正式名称は「証拠収集等への協力及び訴追に関する合意制度」といいます)の導入が平成30年6月1日に迫っています。

「司法取引」という用語そのものについては、米国をはじめとする諸外国ですでに活発に用いられており、日本企業にもなじみ深いものです。しかし、米国の陪審員制度が、日本の裁判員裁判と似て非なるものであるのと同様、日本版司法取引制度も、個別に理解を深めておくべき重要な制度です。

たしかに、本年6月1日以降ただちに、この司法取引制度を利用しようという企業は稀だと思われます。それゆえかもしれませんが、この制度を使いこなすための理解、制度を踏まえた社内対応については、必ずしも十分なものではない企業が散見されるのも実情です。本稿では、日本版司法取引制度の概要について簡単におさらいするとともに、企業として、今から準備しておくべきことについて述べます。 Continue reading

ブロイラーチキン反トラスト法違反事件におけるTAR

TAR_for_Smart_Chickens-1専門委員であるグロスマン氏が、ブロイラーチキン反トラスト法違反事件において新たな検証プロトコルを提案しています。

検証はテクノロジー支援型レビュで困難を極める部分のひとつです。このことについて、及びレビュー対象文書に含まれる関連文書のうち何件発見できるか(以下、「発見率」という)を証明することの難しさついて、当社はこれまでに以下のような記事を発表してきました。 Continue reading

Insight Predictを使ったレビューの効率性

Catalyst_Blog_Review_Efficiency_Using_Insight_Predict第一のケーススタディ

テクノロジー支援型レビュー(TAR)に関する多くの考察は、レビュープロセスで見つかる関連文書の割合(%)である「発見率」に焦点を当てています。発見率が重視されるのは、弁護士は関連文書を提出する上で合理的でバランスの取れた手順を踏む義務があるためです。実際に連邦民事訴訟法26(g)では、適正な審問後に弁護士が文書開示請求に対する応答及び文書開示が状況を勘案して合理的かつ均衡のとれたものであることを証明するよう求めています。 Continue reading